親の役目は幅広い人生の道筋を見せること


中学受験を考えるくらいの年齢になると、子どもは子どもなりに将来についてイメージをもつようになります。

小さな頃は、アニメのキャラクターや生活に密着したお店屋さんになる!

と言っていた子も、病気を治してくれた医師に憧れを抱いたり、テレビで見る華やかなステージを作り上げる裏方業に興味をもったりしてきます。

大人たちの職業に、やりがいや社会的な使命を子どもながらに感じ始める時期なのでしょう。

もしも、お子さんから将来についての話が出たら、親としてその夢を潰さないように会話を膨らませていくことを心がけてほしいと思います。
決してしてほしくないのは

「お医者さんになりたいのなら、医大に入らないと!」

と言った声がけです。

子どもの進路を限定するような言い方は、親が子どもの将来に踏み込んで、レールを敷くようなもの。
せっかくの夢を台無しにしてしまいます。
かと言って

「あなたの人生なのだから、好きにしたらいい」

というのは、ある意味で正論なのですが、突き放しすぎているように思えます。

つまり、この時期の子どもの進路には親が「ゆるやかな道筋」をつけたほうがいいということです。

医師に興味をもったのなら、まずは理由を訪ねます。

「おばあちゃんの病気を治してくれた」

などの理由が返ってきたら

「人の命を助けるってステキね」

と掘り下げていきます。
そうすることで、子どもの興味が「医師」一択から「人の命を助ける仕事」へと広がっていく可能性が生まれてきますね。

人生において、夢や目標を早く決めれば早くゴールに到達するというわけではありません。
世の中にはいろいろな職業があり、しかもこれからの時代はもっとたくさんの選択肢が出てくることを、親の役目として子どもたちに伝えていくことが大切だと考えています。

written by 江藤 真規