実況中継のように、そのままを伝えよう


子どもの育ちを促すために、家庭でできることとして、私は「声がけ」を工夫することをご提案しています。

ネガティブ言葉をポジティブ言葉に変換する考え方を、これまでもお伝えしてきました。

しかし、時折「ポジティブ言葉に、どうしても自分が馴染まない」とお考えのお母さんがいらっしゃいます。

聞けば「褒めるのが苦手」と答えが返ってくるのです。

「褒めようと思っても、咄嗟に言葉が出てこなくて、スゴいねとかやったねとか、うまく言えません」と、お悩みを抱えていました。

たしかに「褒め」はポジティブな声かけですが、逆に言うとポジティブ言葉とは「褒め」だけ、ではないのです。

ポジティブ言葉の本質は、承認。あなた(子ども)という存在を認めて、受け入れるということにあります。

なので、「おはよう」とか「おやすみ」とか、そういった基本の挨拶もポジティブ言葉に分類されます。

挨拶は、あなた(子ども)が「ここにいる」ことを見ていることの証明ですから。

「見てー!」と言われたら、目を向けて「うん、見ているよ」と答えるだけでもいい。
子どもが「今日テストで100点とれたよ!」とニコニコ笑顔で駆け寄ってきたら「うれしそうね」と返すだけでもいいですし、反対に「10点しか取れなかった」と悲しそうな顔をしていたら「そう、悲しそうね」と返すだけでもいいのです。

イメージとしては、実況中継。

目の前にいる子どもの様子を、そのまま言葉にして返すだけ。

子どもの気持ちや行動を、お母さんの力でどうにかしようとはせずに、いま、この瞬間の感情を2人それぞれに味わう。

いかがでしょう。
そのように考えていくと、子どもとのコミュニケーションに無駄な力みがなくなっていくような感じがしませんか?