親の過去と子どもの今は、別のもの


「子どもに中学受験をさせるか、させないか」を悩み始めているお母さんとお会いしました。

聞けば、小学4年生のお子さんは

「受験をしてまでその中学に行きたい理由」

を、明確にもっているとのことです。

なのに

「させるか、させないか」

を悩んでいるのは、お母さんが

「まだ4年生で受験まで2年もあるし、これまで一生懸命に続けてきたバレエのお教室を辞めさせるのがどうしても嫌」

だったからでした。

踏ん切りがつかない様子のお母さんにお伝えしたことの本質は「今は誰のためにあるのか」を考えること、でした。

自分の好きなもの、興味があるもの、将来的にやってみたいことが明確でないのなら、4年生の今から遊びの時間を削ってまで無理に勉強をすることはないかもしれません。

けれど、このお子さんはそれが明確。
その場合、今から始める勉強は、夢を現実にするための第一歩になりうるのです。

「これまで一生懸命に続けてきたバレエ」

とありましたが、バレエを通して頑張る力を身につけてきた…ということもできるはず。

頑張りを一番近くで見てきたであろうお母さんに、ポンと背中を押してもらったら、娘さんは受験に向けて、きっとものすごいパワーを発揮するのではないでしょうか。

「あなたは頑張ることができる子だよ」

という言葉がけとともに応援とサポートをしてあげてほしいな、と思います。

また「あと2年ある」と言っても、やりたいことが見つかったのは「今」ですし、そこから受験という手段を見出したのも「今」なのです。

子どもは「子どもの今」を生きているのです。親は、どうしても自身の過去と子どもの今とを重ねてしまいがちですが、それらは全くの別物だということを、改めて認識しておきたいですね。

 

written by 江藤 真規