【今回の質問】
何でも親がやってくれると思っている我が子。どうすれば、自ら動くようになるのでしょうか
「お父さん、お願い」
「お母さん、やって」
子どもは何でも人任せ。
幼少期の育て方に問題があったのか
なんでも親がやってくれると思っているようです。
しかし、いずれ社会に出ていく子どもです。
親がずっとサポートできるわけではありませんし、
このままではいけない…と、
不安になってしまいます。
「子どもが自ら動く」に向かうためには、
環境作りからスタートしましょう。
鍵は、「リクエスト」にあるかもしれません。
【目次】
「やってあげる」から相互に支え合う関係に
上手なリクエストの方法
具体的に頼む
Iメッセージで伝える
フォローを忘れずに
子どもの自立を目指して
◆「やってあげる」から相互に支え合う関係に
まず、親子の関係性から見直してみませんか。
関係性は大きく2種に分けられます。
一つは、「やってあげる―やってもらう」という
「一方向」の関係性。
もう一つは、相互尊重、相互理解、相互補完等、
相互に支え合う「双方向」の関係性です。
もしも、今の関係性が一方向の関係で
親御さんが「やってあげる人」
子どもが「やってもらう人」となっている場合、
親側が急に手を離したり、
何かをやらせようとすると、
「なぜ、やってくれないの?」と
子どもの心に反発心や不安を
招いてしまうかもしれません。
まずは、「やってあげる―やってもらう」関係から、
相互に支え合う関係づくりに、
意識を向けてみましょう。
大人が頼り、子どもが頼られる場面を
作っていくということです。
そこで役立つのが「リクエスト」です。
子どもが自ら動く環境は、
「やりなさい」という指示命令よりも
ストレートにお願いをした方が効果的に作れます。
そのための手法をみていきましょう。
◆上手なリクエストの方法
確かに、親が自分でやってしまった方が
早いのかもしれません。
わざわざお願いしなくても
気づいて欲しい…という思いもあるでしょう。
しかし、こういった考え方を手放し
子どもにリクエストしてみませんか。
上手なリクエストの方法を3点ご紹介します。
▶︎ 具体的に頼む
子どもと大人では、見えている世界が異なります。
大人の当たり前は、
子どもにとっての当たり前ではありません。
子どもにリクエストする際には、
子どもが理解できるよう、
親子で共通理解ができるよう、
具体的に頼みましょう。
「ここに取り込んだ洗濯物を置くので、たたんでくれるかな」
「部屋の空気を入れ替えたいので、窓をあけてくれるかな」
子どもにお願いする際には
できるだけ具体的に。
「これ、やっておいて」と丸投げをしたり
「ちゃんとやりなさい」と雑に頼むのではなく、
具体的に、段取りも含めて
リクエストすることを意識してみてください。
● Iメッセージで伝える
子どもに投げかける言葉は、
とかく「〇〇しなさい」という指示命令や、
「〇〇して当然だ」という一般論となりがちです。
しかし、それではいつまでたっても親子の関係を、
一方向から脱却させることができません。
Iメッセージを使ってみましょう。
Iメッセージとは、自分の気持ちや思いを
「私はこう思います」と相手に伝えるメッセージのこと。
「食器をシンクに運んでくれたら、お母さんとても嬉しいな」
「ドロがついた靴下は、下洗いをしてくれるとすごく助かるな」
新たな関係性に向かうためには、
「このくらいして当然」
という気持ちは横に置いておくことが大切です。
「もう、◯年生なんだから」
「みんなやっているんだから」と言われるのとは、
全く異なる伝わり方になるはずです。
リクエストするのは、
子どもがやるのが当然だから…ではなく、
「自分のため」とも捉え、
Iメッセージを是非利用してみてください。
● フォローを忘れずに
もう一点重要なことがあります。
それはリクエストをして、
子どもが動いた後のこと。
行動後のフォローは忘れないようにしましょう。
「ありがとう、助かった」
「〇〇ちゃんがとても丁寧にやってくれたから嬉しかった」
これらのフォローの言葉あってこそ、
子どもの中には「できた」や、
「やってよかった」という感覚が育ちます。
忘れずに伝えましょう。
また、フォローをする際には、
評価をしないことも大切です。
「上手にできた」という評価や、
「それじゃダメだ」という否定が入ってしまうと、
子どもの前向きな気持ちが削ぎ取られてしまいます。
上手にできるようになるまでには
時間がかかることも理解した上で、
子どもへの言葉かけをしていくといいですね。
◆子どもの自立を目指して
子育てのゴールは子どもの自立です。
そして大切なのは、自立までのプロセスです。
誰かの役にたった、誰かに喜んでもらったという経験は、
子どもの中に、利他的な気持ちを育みます。
ますます少子化が加速し、
人間がAIやロボットと共に生きていくこれからの社会は、
他者との協働、他者との共生が求められる時代です。
自分ひとりで頑張ろうとするのではなく、
「頼り―頼られる」関係を、
子ども自身が周囲と作っていけるようになれば、
それは今後を生き抜くとても大きな力となるはずです。
この記事へのコメントはありません。