イマドキ保護者のREAL VOICE-教育コーチングの視点-

case.8  高校2年生の息子をもつお母さん
「海外生活から戻った途端、将来にする
夢や希望を失ってしまった息子…勉強にも身が入りません」

中学1年まで海外に住んでいました。
帰国してから、将来にする夢や希望が
なくなってしまったようです。

「将来何になりたいの?」と聞いても、
何も返ってきません…。

大学には「仕方ないから行く」と言ってはいますが、
そのような調子なので、勉強にも身が入っていない様子です。

↓↓↓ 子育てコーチ・江藤真規の教育コーチングの視点 ↓↓↓

思春期の子どもは、すべてを親には語りません。
このお母さんには、子どもの心の中と実際の発話にはズレがあること、
そして将来をイメージするには、漠然から焦点化する必要があること、
さらには、夢は人から言われて無理やり作るものではないことに
気づいてもらえるといいですね。

─…─…─…─…─…─…─
解決に導く「提案」のヒント
─…─…─…─…─…─…─

1.保護者の気持ちをポジティブにシフトする
→「海外に住んでいらしたのですね」「どちらにいらしたのですか?」
「向こうでの生活はいかがでしたか」など、答えやすい話題を振る。
まずは、ポジティブな気持ちになってもらうことから
スタートしてみましょう。

2.保護者の意識を整理する
→「お母さんにとって“将来”とはいつのことを指していますか?
「お子さんにとっては?」
“将来”という言葉は、実はとてもあいまいなもの。
両者の解釈にはズレがある可能性がある、ということに
気づいてもらいましょう。

3.気づきを促す
→「お子さんに『5年後』に何をしていたいか、聞いてみましょうか」
「お子さんにとって、ロールモデルとなるような人はいますか?」
「お子さんは、どんなことに興味がありますか?」
という質問の流れに乗せて、
「お母さんは“5年後”にはどのようなことをやっていたいと思いますか?」
と、自分のことにも目を向けてもらいます。

子どもの将来は親が決めるのではないこと、
子どもが決めていくために適した環境を整えることに意味がある、
ということに気づいてもらいます。

4. 親本来の役目を考える
→「お子さんの心の中、何%くらいを話してもらいたいと思いますか?」
「絶に聞かなくてはいけないお子さんからのメッセージは?」
親としてやること、やらないことを決めるための思考の整理をする一方で、
「お子さんが未来にして楽しい気分になるために、
どのような工夫ができそうですか」
親として、本来の役割にも目を向けてもらいましょう。

5. 安心を提供する
→「塾でも、将来の話などをしてみるようにしますね」
と、協力制にあることを伝えます。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

親は子どものために何をすればいいのか。
信じて、信じて、信じきる…。
きっと、それだけなのだと思います。

+――――――――――――――――――――――――――+

WEEKLY IN-PUT

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン

コーチングのスキルと呼ばれているものには
いろいろなものがありますが、
なかでも非常に重要なのが「質問」のスキルです。

今回は、「オープンクエスチョン」と
「クローズドクエスチョン」を紹介します。

オープンクエスチョンとは、簡単にいうと
答えがイエスorノーでない、質問です。

「目標達成に向けて何をしますか?」
「そうお子さんに言うのは、何のためでしょうか?」
「では、誰と一緒にやりますか?」
といった具合の質問です。

クローズドクエスチョンは、簡単に言うと
答えがイエスorノーである、質問です。

「それは今できますか?」
「不安があるのですね?」
「大丈夫ですか?」
といった具合の質問です。

使い方はいろいろで、正解もありません。
ただ人には無意識でいると、相手を自分の思い描く答えに
誘導したいと言う気持ちが働きます。
ゆえに、クローズドクエスチョンを多用しがちです。

なので、オープンクエスチョンというものの存在を意識し、
時折使っていくことで、会話における相互間の力バランスが
とりやすくなる、というわけです。

相手にもっと深く考えて欲しいと思う時にはオープン、
決断した意志を強めて欲しいと思う時にはクローズ、
このような使い分けをしても、いいかもしれませんね。