子どもを励ましたいのに……


前回のコラムでは、受験の追い込み時期に成績が下がってしまった時、
励ましの声がけのコツとして、心から「大丈夫」だと信じ抜くことをお伝えしました。

落ち込んだ時にこそ家族の支えが力になる -教育コーチングの視点-

ほかにも、過去の成功体験にアクセスするという手法もあります。

「あの時うまくいったのは、何があったからだと思う?」

「落ち込みから抜け出すために、この前はどうしたんだっけ?」

子どもが過去の成功体験を思い起こせるような問いかけをすることで、
自分で乗り越えられた経験を思い出させてあげるのです。

しかし、時々こういうことが起こります。勉強は頑張っているのだけれど、
実際のところ成績はあまり上がっていない。「大丈夫」だと信じてあげたいし、
そう声をかけて勇気づけてあげたい。でも、過去を振り返っても

「あの時もこうだったから」

と、ピックアップできるような成功体験が見つけられない……。

そういう時には、お母さんやお父さんの成功体験を語るだけでも効果はあります。
ただし、この場合にはちょっとした注意が必要です。

1つは、ただの自慢話にならないようにすること。
もう1つは「お母さん(お父さん)にも同じような経験があるよ。

その時はとても落ち込んだけれど、◯◯◯な気持ちになったらまた頑張れた

というような一般論にならないようにすること、です。

気持ちを切り替えられたキッカケのこと
(誰に何を言われた、手にした漫画や本にこう書いてあった)
や、もう一踏ん張りしたからこそ得られたものがなんなのかなど、
できるだけ具体的なエピソードを交え、子どもの心に届くような、
なんらかのキッカケを与えられるような言葉を選び、

彼・彼女が再び前を向いて進めるような環境を整えてあげてください。

written by 江藤 真規