【今回のご質問】
子どもにもっと自信を持たせたいです。
どれだけ褒めても効果がありません。

質問することで、自分の心と向き合わせる

うちの子にもっと自信をもってもらいたいんです…。

本当はできるのに…。
実際、ちゃんと成果を出しているのに…。

それなのに、
「自分なんて大したことない」と控えめな我が子。

「もっともっとできるのに、
どうしてそこで止まってしまうかな…」と
困惑してしまう親心もよくわかります。

自信がないなら褒めてあげよう!
励ましてあげよう!
子育ての教科書にある通り、
「あなたはよくできるのよ」
「〇〇ちゃんよりずっと成績もいいのよ」
「前よりずっと良くなっている!」と、
子どもに一生懸命エールを送ります。
そして、「だから自信を持って!」と…。

それでも、子どもは
「そんなことを言うのはお母さんだけだよ」と、
なかなか気持ちが切り替わりません…。
お手上げ状態になってしまいますよね。

子どもの幸せを願うからこそ、
親は子どもに、
「ああしたらいい」「こうしたらいい」と言ってしまいがちですが、
ある程度の年齢になれば
人の心は「他人からの説得」では動きません。

心が動くためには
自分が真にそう思うこと
見方が変わること、気づくこと
が必要です。

「今」自信が持てない状況にある子どもに対して
どう関わっていくことができるか
各々のポイントごとに、
具体的関わり方を考えてみましょう。


①自分が真にそう思うために
誰かから、「あなたはできる」と言われるのではなく、
自分が「自分は大丈夫」と思えることが必要です。

そのためには「経験」をすること。
「やったらできた」
「やればできる」
小さな経験をさせてあげましょう。

今ある課題を細分化してみれば
たくさんの「できた」経験をつくることができるはずです。

例えば1冊の本を読んでから
「読めたね」ではなく、
1章を読んだら
「1章読めたんだね」と…。

英語が上達したら
「上手になったね」ではなく、
25分のオンライン英語レッスンに参加したら
「今日も楽しく参加できたね」というように…。

こういった状況においては、
親の関わりは
「すごいね」「素晴らしいね」よりも
「できたんだね」
「頑張ってやったんだね」

【存在承認】をする方が効果的。

※存在承認:相手の存在自体を認めること

 

また、特定の誰かからの過剰な褒め言葉は
時として、「自分は慰められている」と
返って自信を失うきっかけになってしまうことも…。

「事実をそのまま伝える」ことに徹し、
本人に気づいていってもらうことの方が
状況を変えるには効果的かもしれません。

 

②見方を変え、気づきを与えるために
世の中は「解釈」で成り立っています。
私達が見ている社会は
私達の解釈で感じ取っている社会。

なので、一つの事実に対して
多様な解釈が存在するのです。

「自分はダメだと思う」、
これも、もちろん解釈です。

この解釈を
「自分は大丈夫」という解釈に変えるためには、
本人の見方が変わる(解釈が変わる)ことが必要であり、
そのためには、いわゆる「気づき」が起きることが求められます。

相手に気づきを与えるためには、
「質問」が効果的。

自分の見ている世界とは異なる世界が見えるよう、
視点が置きかわる質問、
本質に目が向けられるような質問、
自分は勝手な解釈をしていたことに気づくような質問、
をしてみてはいかがでしょう。

  • 「人間ダメなところもあるよね、では、あなたのいいところはどこかな?」
  • 「今はダメな時期として、いつ頃から上向きにしていく?」
  • 「自分はダメだって、それはどういったことから感じているの?」

質問の答えを探すプロセスで
子どもは自分を客観視し、
自分の心と向き合います。

この行為が、いわゆる「気づき」を促すのです。

質問をされることで、
子どもには異なる視点が加わります。

今ある状況を多(他)方面から見ることで、
気持ちが切り替わることも期待できるでしょう。

 

最後に…。
そもそも論となってしまいますが、
「自信がない状況」って、本当によろしくない状況なのでしょうか。

「自信がない」を受け入れることも
大切なことなのではないでしょうか。

常に明るく元気で、常に自信をもって…
これでは人間疲れてしまいそう…。

時には凹み、
自信をなくしてしまい、
でも、そんな自分も捨てたもんじゃない…。
自分の弱さも引受けられる人こそ
真に強い人とも言えるように感じます。

子どもを尊重し、
子どもの「育つ力」を信じること…。
子育てはこれにつきますね。