家庭教育は再生産されると言われています。
自分が育てられたように、我が子を育てる、と言うことです。

「自分が育てられたように…」
つまり、30年、40年前の価値観に基づき
未来を生きる我が子を育てていく、といことになるのです。

見方を変えれば、子どもは、祖父母世代の価値観に基づき
育てられていくということになります。
親が意図的に、「時代は変わっている」ということを意識しなければ…。

これが、家庭教育が変わりにくい要因の1つです。

また、家庭教育とは「家庭の中のいとなみ」であり、
外部からはとても見えにくい領域にあります。
家庭教育は私的領域にある…ということです。
だから、家族意外の外野は、アドバイスや意見をしにくいのです。
価値観を置き換えた方がいいと思っていても、
「あの家には、あの家なりのやり方があるからね」となってしまいます。

これも、家庭教育が変わりにくい要因の1つです。

自分で気づかなければ変化させることができない、
周囲からのアドバイスを得にくい、
これが「家庭教育」の特殊性であり、
だから変わりにくいのが家庭教育なのでしょう。

教育基本法(平成18年改正)では、
「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、
生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、
自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする」
とあります。

同時に、
「国及び地方公共団は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、
保護者にする学習の機会及び情報の提供
その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう
努めなければならない」とも、明示されています。

繰り返します。
「国及び地方公共団は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、
保護者にする学習の機会及び情報の提供を……」

家庭教育とは、父母及び保護者に委ねられ、
大変変わりにくいものでありつつ、
国及び地方公共団は、
保護者にする学習の機会及び情報の提供をしていく」必要がある、
ということです。

当該法律が改正になった平成18年と比較して、
教育に関与する民間の力は圧倒的に大きくなりました。

国及び地方公共団に加え、
今こそ学習塾には地域の力として
保護者にする学習の機会及び情報の提供をしていく」
役割を担っていただきたい…、私は強くこう思います。

同時に、様々な課題が起きている現代社会においては、
家庭教育の重要性がより一層言われるようになりました。

しかしそれらの声は、
「学校任せではなく、しっかり子どもをみていくのは家庭の責任」
「親がそんなだから、子どももそうなるんだ」等々、
責任の所在を家庭だとする傾向であったり、

「受験が変わる!今までの勉強では通用しないんですよ!」
「教育が変わる!幼少期が一番投資効果が高いんですよ!」等々、
無意味に保護者の不安を煽る傾向であったり…、

「家庭教育を支援するために必要な」方向に向かっていないことも
往々にしてあるように感じます。

未来社会を担う子どもたちがワクワクした気持ちで
新しいチャレンジにむかっていくためには、
変わりにくい家庭教育の近くにいる誰かが、
見えにくい家庭教育の、遠巻きにでも関わっている誰かが、
「小さな支援」をしていくことがとても重要と考えます。

例えば、セミナーに誘ってみる。
例えば、本をすすめてみる。
こんなことでも、貴重な「支援」となることでしょう。

これ以上、子育てがし辛い社会にしないよう、
これ以上、子どもたちが被害者にならぬよう、
少しおせっかいにでも、
家庭教育への関与をしていきたいと思っています。