前回の記事では、
「今どきの子育てが難しい理由」として
近年、保護者が抱えがちな課題をご紹介しました。

教育が大きな転換期を迎えていることは分かっているけれども、
何を見ても、どこに行っても、
「時代は変わる」
「考え方変えなきゃいけない」という情報しか得られず、
「見通しの立たないことへの不安感」が更に増していること。

また、女性の活躍推進に伴い、
「子どもと向きあう時間がない」にもかかわらず、
「子どもとの対話の重要性」
「子どもに体験させることの必要性」が言われており、
今どきの保護者はジレンマを抱えがちであるという話をしました。

保護者には、複雑化された課題があることが分かります。

今日の記事はその続き…。

子育ては「再生産」されると言われています。
つまり、親から受けた「教育」が
そのまま子どもへの「教育」として展開されていくということ。

例えば、「勉強が重要」とされる環境で育った子どもは
親になったとき、やはり子どもに「勉強は重要」と
伝えていきます。

「子どもは遊ぶのが仕事」の家庭で育った子どもは、
我が子にも、そう接していくわけです。

この「再生産」の観点から考えてみると、
専業主婦である母親に育てられた女の子は
自分が母親になった際には、
自分の母親がやってくれたような子育てを展開したいと願うようになる、
こんなことが言えるでしょう。

子どもが学校から帰ってきた時には家でおやつを用意して待っている。
子どもの習い事の送り迎えをしてあげる。
夕食は必ず一緒に会話をしながら食べる…などです。

しかし、この無意識に自分の中で当たり前となっている考え方に
今どきの保護者は苦しんでいるのです。
理由は、そのような日々を送ることは
今の時代、難しいからです。

これが今どき保護者にある、複雑化された課題です。

社会の変容とともに、
親とは異なる生き方を強いられる今どきの保護者は
「ありたい母親像」になれず、
「そうなれない自分が悪い」と考えがちなのです。

人は、「ちゃんと」」とか「しっかり」という
曖昧な言葉を良くつかいますが、

「私はちゃんと子育てをしていない」
「私には、しっかりと子どもを育てる力がない」

このような言葉が出た時には、
自分の中に無意識に存在する
再生産された価値観と照らし合わせ
自分はだめだ…と思っている場合が多くあります。

保護者との信頼関係は
生徒の指導においても大変重要です。

しかし、その信頼関係を構築するには
単に、気休めのごとく
「大丈夫ですよ」と言っているだけでは足りない…。

さらに、「お母さん、頑張って時間つくってください」など
理想論を押し付けてしまえば、保護者が壊れてしまう…。

そのくらい、今どきの保護者が抱えている課題は
複雑であり、直線的には解決できない状況にあるのです。

では、どうしたらいいか。

おすすめしたいのは
「本人に気づいてもらう」ということ。
気づきを与えるということです。

===
「なるほど、お母さんはそう感じているのですね」
「しかし、それって事実でしょうか」
===

「自分はちゃんと子育てできていない」という保護者に対して、
「それって事実ですか?」
「誰が、そんなことを言っているのですか?」
例えばこのように伝えてみると、

保護者自らが考え出し、
気づいていくことが期待できます。

保護者に気づきを与える…。
ここを意識してみると、
保護者への言葉かけがきっと変わってくると思います。