イマドキ保護者のREAL VOICE-教育コーチングの視点-

case.16  小学6年生女子のお母さん
「滑り止め校に不合格…。

もうどうしたらいいのかわかりません」

に合格を確信していた1月校なのに、
まさかの不合格という結果になってしまいました。

調が悪かったわけでもなく、もしかしたら、
うちの子は入試に弱いのかもしれません。

ここまでせっかく頑張ってきたのに、
もうどうしたらいいのか、わかりません。

↓↓↓ 子育てコーチ・江藤真規の教育コーチングの視点 ↓↓↓

子どものことと自分のこととを切り分けられず、
酷く落ち込んでいる様子のお母さん。

まずはその辛さを受け止め、経験をバネとする捉えに
変容させるサポートが必要です。

そのためには自分の立ち位置を客観視すること、
そして過去ではなく「この先の時間」に目が向くように意識を変容させること。

話を聴いてくれる相手、思考の整理を促してくれる相手、
そういった相手に塾の先生がなれれば、きっとこの親子は救われるように思います。

─…─…─…─…─…─…─
解決に導く「提案」のヒント
─…─…─…─…─…─…─

1)一言めは、必ず「共感」
「悔しかったですね」

→「そういうこともありますよ…」という気休めはNG。
一緒に悔しさを共感してあげるところがスタートです。

2)感情を言語化します
「今、お子さんはどのような気持ちでしょうか」
「お母さんのお気持ちは、いかがですか?」

→感情を言語化することにより、自分自身を客観的に見つめられるようになります。
子どもの感情、そして自分の感情を分けて考えることで、子どもと自分とを分けて
考えることができるようにもなります。

案外、子ども自身はあっけらかんとしている場合もあります。
当てはまるときには「小さなことには動じない」ことを
子どもの強みとして、アピールしてあげるといいでしょう。

3)安心材料を与える
「お子さんの学力は、バッチリだと思います」
「力があるお子さんですよ」

→不安を払拭するために、子どもの学力は備わっていることを
繰り返し伝えてあげましょう。
この言葉が、何よりも親にとっての安心材料となります。

4)役割を思い出させる
「残りの2週間、お母さんにできることは何でしょうか」
「後悔しないために何をしますか?」

→「お母さんとして自分がすべきこと」を思考してもらいます。
きっと、子どものサポートや環境づくりといった答えが返ってくるでしょう。
「そのサポートがあればお子さんはきっと大丈夫」と
お母さんを勇気づけてあげてください。

5)最後にもう一度、安心を提供する
「お子さんの学習は、私たちにお任せくださいね」
「お母さんは、ぜひニコニコしていてあげてください」

→ここまでくれば、このような言葉も
お母さんの心に深く届くことでしょう。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

直前期に親ができることは、上に記述した通り
「家庭でニコニコしていること」であり
それが一番大切なことだと感じます。

しかし、心の基盤が整わず、不安や葛藤を抱えている状態では
「ニコニコ」することは無理なのです。

「母は女優であれ!」などと言う言葉さえ聞いたことがありますが
女優になれるのは、心が整っているときのみ。

先生の言葉の力で、
お母さんに真の安心感を与えてあげてください。

+――――――――――――――――――――――――――+

WEEKLY IN-PUT
∟コーチングの基本は「聴く」にあり

今回のリアルボイスでは、希望に敗れ
落胆に打ちひしがれた保護者にする面談を取り上げました。

これからの時期、残念ながら増えてくる可能性の高い
シチュエーションかもしれませんね。

提案のヒントでは、共感するところから始まりました。

以前も「まずは共感」を保護スキルとして紹介したことがありますが、
なぜ、共感から始める必要があるのかというと
保護スキルのベースであるコーチングの基本は「聴く」にあるからです。

「希望に敗れ落胆に打ちひしがれた」と書きましたが、
それはあくまで当人の視点。同じ状況であっても第三者から見たら
「その気持ちはわかるけれど、それで人生が終わるわけではない」
比較的、楽観視することができますよね。

だからといって、すがる思いで先生の元を訪れた保護者に
「大丈夫ですよ」「気にすることはありません」「次です、次!」
むやみやたらに励ましの声をかけてしまっては……

保護者は「こちらの気持ちも知らないで」と
心を閉ざしてしまうでしょう。

繰り返します。
保護応の基本は「聴く」ことにあります。

相手が発する言葉に集中し、興味をもって耳を傾ける。
これさえできれば、保護応はバッチリだと
言っていいのかもしれません。